カナダ・カルガリー①

 こんにちは、inoue(e)です。
 2025年11月4日から2026年2月27日まで、約4か月かけて、カナダ(カルガリー・トロント)、アメリカ(ラスベガス・グランドキャニオン)、イギリス(カンタベリー・ロンドン)、イタリア(ヴェネツィア)に行きました。感動や戸惑い、学び、孤独など、いろいろな感情が断続的に押し寄せてくる毎日の中で、たまに「カナダどう?」「日本とどう違う?」と質問されることがあるのですが、いつもうまく答えられませんでした。なんとなく耳当たりの良い言葉で返していたのですが、実際、私にとってこれらの国はどうなんだろう、日本とどう違うのだろうと、この旅を整理するためにブログを書くことにしました。日記や家計簿をつけていたので、覚えている限り具体的に、訪れた場所、感想と合わせて、かかった費用も書き残していこうと思います。
 カナダに行くことになった経緯や目的については、前回のブログ「仕事を辞めて海外へ行くことにしました①~③」をご覧ください。

※ 初めに断っておきますが、すべての話に「私が出会った人に限って言えば」「私が経験した中では」「私から見ると」という前提が付いていることを承知しておいてください。ここに書くことが「外国人」や「カナダ」のすべてではありませんし、日本人にいろいろな人がいるように、カナダ人にもいろいろな人がいるでしょう。私が出会った人はそのうちのごくわずかな人です。また、英語や文化、知識の不足が原因で、単に私が勘違いをしている可能性も大いにあります。それに私は「ゼーリエ」(葬送のフリーレン)のように「直感がいつも正しい」わけではありません。だから、断定したくて書いているのではなく、「こうなのかな?こう感じたけどな(知らんけど)」というすごくあいまいで不確かで一方的な感想を書いていくことになります。単に、自分の旅の記録として、新鮮で生々しい感触を大切に残しておきたい、この感触が残っているうちに自分が感じたこと・学んだことを残して「自分にとっての外国」についての考えをまとめておきたい、そういう目的で書いているので、その点を承知の上で読んでもらえると嬉しいです。

Nov 4 - 9, 2025
 まずは、関空からバンクーバー経由でカルガリーに行きました。フライトチケットはCAD$662(のちに友達になったOhmiから「安すぎてクレイジーな料金だ」と言われました笑)。バンクーバーで入国審査を受けたのですが、これが大変でした。私の旅の計画は、審査官を納得させるにはあまりにも大雑把なものでした。当初決まっていたことは、カナダのカルガリーに長期滞在すること、アメリカ(会う場所は決まっていなかった)の友人に会うこと、イギリスのカンタベリーの友人に会うこと、それだけでした。それ以外は生活しながら、財布と相談しながら場当たり的に決めていこうと思っていました。働くわけでも留学するわけでもありませんし、帰りの日程もはっきりしていませんでした。また、滞在するところさえ、初めの1週間分しか決まっていませんでした。そのうえ、残念ながら、英語での会話もぎこちなかったです。そんな得体の知れない私を当然怪しんだ審査官は、別室に行くように指示しました。鼓動が速くなりました。それでも、「まあそんなこともあるか。よく聞く話だよね」くらいに思っていました。次の審査官も怪訝な表情をしながら同じ質問を繰り返しました。「さっきも聞かれたで?」と思いながら同じように答えていると、また別室へ行くよう指示されました。このときに私の中にあった妙な余裕は消え失せました。これ…やばいかも…。そして、最後は倉庫のようなところに行かされました。何人かの旅行者と役人たち。その役人たちのルーズな雰囲気が逆にその「最後の地」の異質さを際立てていました。最後に担当した女性の審査官(心の中でボスと呼んでいました)が、また同じ質問をした後、私のバッグから荷物を一つ一つ出し始めました。そして、気になったものに対していちいち「これは何?」とまったく表情のない顔で聞いてきました。一つの物に対して納得するまで質問を続けました。一応納得できたものは投げ捨てるように横に置いて、無表情のまま次の荷物の尋問。あるノートを指さして同じように聞かれたときに、中身を見せて説明したほうがわかりやすいかと思いノートに手を伸ばしたら「触るな!」と、まるで氷属性の魔法のように私を制止しました。その瞬間、全身からすべての体温がなくなりました。「え…でも…これおれの荷物やん…」日本に帰らされる…?と不安が頭を、涙が目を覆いそうになったとき、同時にすべての荷物が外に出され、ふいに尋問が終わりました。持っていたものと私の説明が一応整合しているように思ってくれたのか、「もう行きなさい」と言われました。「行きなさい…?」一瞬言葉の意味が分かりませんでしたが、その時点でフライトの保安検査のリミットまで10分くらいしかありませんでした。今いる場所も保安検査がどこで行われるのかもわかっていませんでした。そして目の前には空っぽのバックパックと散乱した荷物…「おれが戻すん…?…あなたが出したよね…?」と思いましたがそんなことを言っている余裕はありません。急いで荷物を詰め込んでいると、あれだけ鞭を浴びせ続けたボスは、「入国審査で止められたと言えばきちんと対応してくれる」と最後に「飴」を放り渡してきました。当然の職務を果たした彼女に対して憎しみなんてありませんが、彼女の顔はなかなか忘れられそうもありません(笑) 重たすぎる荷物を3つ抱えて右も左もわからない空港の表示をなんとか読み取りながら猛ダッシュしました。おれは一体カナダで何をやってんの?と顔を引きつらせながら半泣きになりながら、でもなんとか入国できた安心感と真新しいバックパックを抱えて、汗だくになりながら空港を走りました。なんとか保安検査に間に合い(なぜか預け入れ荷物の大きなバックパックも機内に持ち込めた)、搭乗ゲートにたどり着くと、まだゲートは閉まっておらず、事なきを得ました。飛行機の自分の席に着いた頃には、人に話せるおもしろい話ができたと思えるくらいには落ち着いていました。
 
 バンクーバーからカルガリーは、関空→バンクーバーの後だったので、体感的にはあっという間に着いたように感じました。カルガリー国際空港に到着したことを家族に連絡して、次は、スマホのeSIMの契約です。友人にChatrという現地のeSIMを勧められたので、事前には用意せず空港で契約しようと思っていたのですが、何度やってもクレジットカードが認証されません。もう…!なんやねん…次から次に…!とまた頭を抱えてその友人に電話しました。いろいろ案や可能性を探ってくれましたが(日本のクレジットカードが拒否されることがしばしばあるようです)、最終的にはAiraloで契約することにしました。日本では月に3Gまでしか使わないのですが、スマホはカナダでの生命線だったので、20G/30日の契約をしました。これでCAD$54。それ以降はWi-Fi環境もあって、5G/30日(CAD$26)で契約していました。日本を出発する前にChatrを勧められていたのですが、一応自分でもいろいろなeSIM会社を調べていたことが助けになりました。備えあれば少しは憂い軽減です(笑) そして、次はどうやってホステルに行くん?問題です。本当に行き当たりばったりで、ボスの不信感に同意せざるを得ません(笑) 節約したかったので、タクシーの選択肢はありませんでした。そうなるとバスで行くことになるのですが、乗り場がどこかわりません。何度も同じところを行っては戻ってを繰り返して探しましたがわかりません。Googleマップもいまいちよくわからずうろうろしていました。警備か何かの小さな建物に人がいたので、尋ねてみることにしましたが、「ここはタクシー乗り場、バス乗り場は知らない」と言われ、なんでやねんを抑えて、代わりに謎のThank youを返してまた途方に暮れました。別の人に聞いてようやくわかったら、次は乗り方です。日本でもバスに乗る機会があまりなく、バスに乗ることに苦手意識を持っていたのですが(バスって独特な乗り方で慣れていないと難しくないですか?)、ここはカナダ。感覚的には難易度五段飛ばしくらいです。いろいろ調べて近くの券売機でなんとなくチケットを買って、バスを待ちました。チケットの購入はそれで正しかったようで、バスには問題なく乗れました。当然バスの中は外国人だらけ。英語と夕方前の陽の光がバスに満ちていました。このバスに揺られているときに、ようやく「旅の始まり」を感じたこを覚えています。

 ここまで、空港での手続きやバスの乗り方から道の歩き方に至るまで、文字通り右も左もわからなくて、戸惑いの連続でしたが、だいたいずっとニヤニヤしていました(入国審査以外)。初めて見るものや人を前に、「なんやねーん」とずっと心の中で思ったり口に出したりしていました。海外自体がほぼ初めて(一度友達と台湾へ行った)で、一人旅でいろいろなトラブルもありましたが、特に不安はありませんでした。失敗しようがどうしようが、どうせなんとかなるだろうと思えるくらいには、日本で十分年齢や経験を重ねていたからだと思います。改めてこの年齢で自分が来た意味を感じました。もっと若い私なら、道にうずくまって泣いていたかもしれません(笑)

 バスを降りて、予約していたホステルまでダウンタウンを通るのですが、すべてが目新しくて、楽しかったです。人や建物や奇妙なオブジェなどはいかにも「海外」していておもしろかったですし、信号、横断歩道、車、道、人の服装のような後に「当たり前」になった日常の風景も、このときは目に映るすべてが新鮮で、「おもろ」と思いながら(独り言を言いながら)(ニヤニヤしながら)、立ち止まって写真を撮ったりしながら向かっていました。
 ホステル(Hi Calgary)に着きました。ホステルというよりもドミトリーでした。6日でCAD$225。緊張のチェックインです。初めてのきちんとしたコミュニケ―ションを求められる場です(空港でも何人かと話しましたが、ほとんどがコミュニケーションというよりも一方的に情報を与えられるためのものでした。入国審査では泣きそうになるくらい「話し」ましたが、あんなものは会話とは言いません。単なる拷問です笑)受付では、ほとんど何を言っているのかわかりませんでしたし、お金の払い方すらよくわかっていませんでした(カナダに来るにあたってRevolutとWiseを用意していましたが、日本では現金とPayPayとクレジットカードしか使ったことがなかったので、デビッドカードを使うのが初めてでした)。なんとなく会話しながら、受付で自分の名前を言うと、「BLEACHの浦原喜助みたいな名前だね」と笑って言われ、緊張がほぐれたのを覚えています。感じのいい人でよかったです。なんとかチェックインは終わり、いよいよ生活が始まります。

 6人部屋だったのですが、入ると、同い年くらいの人によく聞く英語の挨拶をされました。あまりうまく返せず、英語がまだ…と言うと、気にしないで、と言ってくれました。そんなに頻繁ではありませんでしたが、その人だけたまに話しかけてくれてうれしかったです。でも、基本的にはその部屋では誰も互いに交流はしていませんでした。意外でした。外国人は他人でも「ウェ~イ」という雰囲気で過ごしているのかなと思っていましたが、全員が特に他の人と会話する様子もなく、各々がスマホをいじったり寝たりして過ごしていました。
 荷物の整理が終わった後、食べ物はどうしたらいいのか…スーパー?ここで料理するの?コンビニ?外食?と頭の中であたふたしていました。ホステルなので、みんなが共有するキッチンやダイニングはありましたが、初めての異国の地に着いて早々慣れない料理をする勇気はなかったので、食べ物を探すことと街を見て回ることを目的に、散歩することにしました。夕方前のまだ明るい時間でした。
 スマホのナビを使わずに、何も考えずに、ふらふらと散歩しました。人の動きを見たり建物を見上げたりお店に入ってみたり。落ち着いて見てみると、「ふ~ん」という感じでした。細かいことを言えば日本と違うところだらけですが、大きな枠組みで落ち着いて見てみると、すべてが英語であること以外は、日本と特に変わらないという印象を持ちました。仕事や留学で来ている人の話を聞くと、時間の感覚や制度や約束事などで私よりも強く日本との違いを感じているようですが、ただ生活をするだけというレベルでは、そんなに違いはないように(このときは)思いました。
 暗くなってきたので、スマホのナビを使って、スーパーマーケットに行きました。基本的になんでも大きかったり量が多かったりと「コストコサイズ」なので、困りました(笑) 一人分、一食分だけ買うということが難しい。日本のコンビニ弁当が恋しかったです(笑) とりあえずこの日は何も買わず、サブウェイで夕食をすますことにしました。注文が難しくて、おいしくなくて、高くて、失敗したなと思いながら、早々に店を出ました(笑) 店内もなんだか薄暗いし怖かったです(笑)
 ホステルに戻って、スマホをいじったりPCをいじったりシャワーを浴びたりして、初日は終わりました。
 2日目以降も特に何をする予定もないので、何かないか調べたりルームメイトに尋ねたりして、街を散策したりしました。印象に残っているのは、ホステル近くの公園(Prince's Island Park)です。都会の真ん中に川が流れていて、その川沿いにある自然豊かな公園です。カナダに来て初めて感動した場所がここでした。その公園内にあるRiver Cafeに入って、初めてのレストラン体験もここでしました。ここの店員さん、カルガリーで訪れたお店の店員さんの中で一番好きな店員さんです。口癖は「Enjoy Enjoy~♪」です。この人ホントに大好き(笑) 結局このホステルにいる間は他に特に観光をすることもなく過ごしました。ちなみに、食事はだいたい近くのスーパーで済ませていました。朝食と昼食はベーグルとサラダ。夕食は冷蔵のピザやインスタントラーメン。たまに外食。食費は6日でCAD$114でした。
 このとき、観光よりも何よりも、私が一番しなければならなかったことは、次に滞在する場所探しでした。次は3か月滞在する場所なので、いくつか内見もして慎重に選びたかったのですが、私の滞在期間が中途半端(3か月は短期でも長期でもない)で、私の条件 ―家賃が650ドル以内(光熱費、水道代、Wi-Fi 込み)、外国人(特にカナダ人)がメインで暮らしている、スーパーが徒歩圏内、洗濯機がある― を満たした物件で、オーナーがすぐに返事をしてくれるところとなると、おのずと数は絞られました。初めにコンタクトを取ったのが、最終的に決めたところなのですが、オーナーが私のいる所までわざわざ車で迎えに来てくれたり、日本に興味を持っていたり(家に向かう道中で工藤静香の話が急に出てきてびっくりして笑ってしまいました笑)と、すごくいい人でした。家も特に汚いわけでもなく、まあこんな感じね、という感じで、問題はなさそうでした。家賃も月にCAD$600で徒歩圏内にスーパーSafeway、ドラッグストアLondon Drugs 、百均Dollaramaもあり、条件にピッタリ合いました。それでも一応他も見たいので返事を数日待ってほしいと言い、その日は別れました。結局、そこ以上に条件が合う物件は見つからず、そこに滞在することになりました。

 次回は、いよいよ一番長く滞在した「孤独のシェアハウスと初めての外国人の友達」編です(笑)